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昔から芸術鑑賞が大好きで、輸出入業務や海外の学芸員とのやりとりを通じて語学力を活かせそうだと考えた私は、ぜひ美術品輸送の仕事にチャレンジしてみたいと思い入社を決意しました。この仕事は同期の間でも人気が高かったのですが、面接での熱弁が功を奏したのか、私は幸運にも最初から美術品輸送カンパニーに配属されました。
念願だった部署で働き始めて、まず驚いたのが業務の担当範囲の幅広さです。輸出を例にとると、お客様からお問い合わせがあった際の見積もりにはじまり、集荷の手配・お預かりした美術品の梱包手配・航空便の予約・通関手続き・海外美術業者への受け取りの手配まで、ひとつの案件にかかわる作業をすべて一人で担当します。もちろん、多彩なだけでなく、個々の仕事に高度な専門知識や技術も必要になります。実際には、上司や先輩に指導してもらいながら勤務しましたが、日々新しい体験の連続で目を回していました。見積もりを間違えて提示してしまったり、輸出ギリギリのタイミングで通関の書類に準備不足があると発覚してあわてて作成し直したりと、失敗は数えきれません(笑)。この仕事には華々しい印象を抱いていましたが、地道な勉強が欠かせないのだと思い知りましたね。
そんな私にとって印象深いのが、入社2年目に担当した大口の案件です。国内のお客様からのご依頼で、モスクワで開催されるアートフェアに出品するため、美術品を十数点輸出するという仕事でした。ご依頼を受けた私は、まずお客様のところへ出向くことにしました。初めて任せられた大口案件であったため、自分の目で品物を見ることが必要だと思ったからです。そのうえでベテラン社員に相談して梱包方法を決めましたが、採寸や自分の判断などに間違いがなかったか、梱包を終えるまで落ち着きませんでした。また、モスクワの空港から会場までの搬送は現地の美術品業者に依頼しましたが、他国に比べてロシアの業者はのんびりしていて、こちらからの確認に対するレスポンスも遅いんです。ずっとハラハラしどおしでした。こうしてすべてが無事に終わり、お客様から「ありがとう」と言っていただけたときには、心底ホッとしましたね。苦労の連続でしたが、完遂できた初めての大口案件として、いい思い出になりました。
私の上司は「この仕事は何年やっていても“初めて”の問題に突き当たる」といいますが、私もまったく同感。毎回なにかしら大変な思いをします。半面、そのつど新たな知識やノウハウを身に付けられるので、自分で自分の成長を実感できる。この仕事ならではの大きな手ごたえだと思います。また、海外業者などとのやりとりで日常的に英語を使う点は当初の希望通りですし、お預かりした美術品を倉庫でじっくり鑑賞できるという秘かな楽しみもあります。今後も、対応能力を高めて「頼れるベテラン」になることを目標にがんばりたいですね。

アンティークのカラクリ人形を海外に送りたいという依頼を受けて、見積もり対応。絵画の梱包方法をベースに金額を算出してしまったため実情と合わず、算出・提示をやり直すハメに。こうした失敗を繰り返しながら成長していく

自分の絵画を海外の別荘に送りたいという個人のお客様の仕事を担当。「対応も絵の扱いも本当に丁寧で、感謝している」といっていただき、仕事の喜びを再認識。その後、様々な輸出入案件を手掛けるようになっていく

後輩が配属されてくる。当初は自分のことで精いっぱいだったが、後半からは何かと面倒を見るように。「優秀な後輩なので、追い越されないように気を引き締めないと(笑)」